工場の見える化とは?具体的な方法から事例まで分かりやすく解説
工場での業務はいくつもの工程や部品が複雑に絡み合っているため、現状を把握するのが難しく、必要以上の工数をかけてしまうこともしばしば起きてしまいます。現場での状況が不明瞭な場合、サービスや商品の品質が下がる恐れがあり、結果として経営に悪影響を及ぼすケースも考えられます。
そのような状況を防ぐのが工場の見える化です。やや抽象的なこの概念を、具体的な方法から事例まで分かりやすく説明します。
この記事で分かること
・工場の見える化とは?
・工場を見える化する目的とメリット
・無駄の削減
・品質の向上
・生産の効率化
・作業者の意識向上
RX Japan 合同会社では、日本最大級の製造業の展示会「ものづくり ワールド」を東京で行うほか、大阪・名古屋・福岡でも開催しております。
展示会場では、製造業の最先端事例や設計開発の最前線の話題が学べる併催セミナーも開催しています。
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工場の見える化とは?
工場の見える化とは?
工場の見える化とは、稼働状況や生産状況などのビッグデータを収集して整理することで、現場の作業者や管理者など誰が見ても分かりやすいように、現場の状況を数値などで可視化したものです。
数値などを用いて客観的に見える化することによって、現場の課題を発見しやすくなり、工場は改善に向けてスムーズに動けるようになると考えられます。見える化によって単に現状把握するだけでなく、分かった情報から何をすべきかを協議し、具体的な行動に移すことが重要です。
工場を見える化する目的とメリット
工場を見える化する目的とメリット
工場を見える化する目的は、現状や課題を現場に伝達しやすくすることで、工場全体の最適化を図り、生産性や効率を向上させることです。また、ベテラン作業者のノウハウに依存しがちな工場業務の属人化を防ぎます。
具体的には作業者の経験によって培われた知識を、データとして客観的に見える化することで、新人からベテランまで勤続年数に関係なく品質を担保したまま業務が行えます。見える化することで、新人に効率よく教えられるため人材育成にもつながっています。工場を見える化することで期待できるメリットは、以下の4つです。
・無駄の削減
・品質の向上
・生産の効率化
・作業者の意識向上
以下でそれぞれ解説します。
図1 (工場を見える化する目的とメリット)
無駄の削減
部品や中間品、完成品などの在庫状況を見える化してリアルタイムで把握することで、管理が徹底できます。管理の徹底によって適正在庫が維持できるため、在庫保有コストを削減できます。
また、工場全体の設備をモニタリングすることで、設備の無駄を削減できるのもメリットです。見える化では、正常に稼働している設備、待機中で稼働していない設備、不具合により稼働していない設備といったように、稼働状況を視覚的に分かりやすく表示します。そのため、設備を生かしきれていない時間を削減できます。
これまで、設備の稼働状況は、直接工場に行かなければ把握できませんでした。昨今では、工場全体が遠隔でも見られるようになり、移動時間の無駄が削減できるようになりました。
品質の向上
設備の状態をデータにもとづいてリアルタイムに把握すると、保守業務の精度を高められます。理由としては、部品の経年劣化や異常の兆候に早期に気付けたり、予測できたりするためです。部品の交換や修繕など、より精度の高いメンテナンス計画が立てられ、突発的なトラブルによる生産停止のリスクが軽減されるでしょう。
また、業務プロセスをデータとして客観的に分かりやすくすることで、作業者全員に共有でき、作業や製品の品質のムラをなくせます。保守業務の精度向上や、作業のムラがなくなることで製品の品質も向上します。品質の向上は、顧客満足度の向上や顧客との関係維持につながり、企業にとってよいサイクルが生まれるでしょう。
生産の効率化
見える化で生産計画の進捗状況を把握できると、早期に遅延を発見しやすく、迅速な対応が可能です。工程や設備ごとに状況を把握できれば、遅れが発生している原因が分かり、直接アプローチできます。そしてこれらのデータの蓄積や分析は、生産計画の策定に役立ち、生産の効率化が図れます。
作業者の意識向上
工場の状況をデータで視覚的に分かりやすくすることで、現状や課題の把握が容易となり、企業として達成するべき明確な目標を全員で共有できます。目標が明確なことや全員で同じ方向を向いていることは、作業者の意識向上につながります。さらに、経営者としても客観的なデータにもとづいて判断を下しやすくなり、明確な指示を迅速に出せます。上からの明確で迅速な指示は、現場の作業者のモチベーションを高めるでしょう。
工場を見える化する方法
工場を見える化する方法
工場を見える化するためには、収集したデータを分かりやすくまとめ、可視化する必要があります。今回は以下の3つの方法を紹介します。
・エクセルで管理表を作成する
・ダッシュボードを導入する
・ディスプレイを設置する
エクセルで管理表を作成する
エクセルでは工程管理表の作成によって、進捗状況の管理が行えます。工程管理表とは、製造の開始から出荷されるまでの各工程のスケジュールをまとめた表のことです。工程管理表にはガントチャート工程表、バーチャート工程表、グラフ式工程表の3種類があります。
今回は構造がシンプルで、誰でも簡単に作成できるバーチャート工程表を例にご紹介します。バーチャート工程表では、縦軸に作業内容と担当者、横軸に日付や時間を記載して、進捗状況を棒グラフで示します。実際にエクセルで作成する具体的な手順は、以下の通りです。
1.必要な工程を洗い出す
2.各工程のなかで必要な業務を細分化して整理する
3.各業務にかかる時間を予測し、担当者を割り振る
4.工程管理表のテンプレートをインターネットからダウンロードし、整理した情報を記入すれば完成
エクセルで工程管理表を作成するメリットの1つは、ソフトがインストール済みのパソコンであれば、導入コストがかからないことです。また、一般的な表計算ソフトであることから使い慣れている人が多く、変更が加えやすいことも魅力です。
図2 (エクセル工程管理表のイメージ)
ダッシュボードを導入する
ダッシュボードは、現場の状況を表やグラフでリアルタイムに示すものを指します。ダッシュボードはツールとして、さまざまな企業から提供されているため簡単に導入できるでしょう。どのツールにするかは、導入によって成功した事例を見て判断するのがおすすめです。
ディスプレイを設置する
ダッシュボードで整理した具体的な内容をディスプレイで表示すれば、より多くの人から見やすくなります。ディスプレイで表示することによって、工場の状況をただ把握するのではなく全員が課題点を認識し、改善に向けてリアルタイムで行動するという本当の意味での工場の見える化を実現できます。
大きなメリットとして、ディスプレイで表示することで管理者と作業者が共にその場で状況を確認できるため、管理者からの指示が作業者にスムーズに伝わり、円滑なコミュニケーションが促進されることが挙げられます。進捗状況や達成率が共有されるため、それらの情報が一目で分かると作業者のモチベーションにもつながります。
管理者と作業者の間の円滑なコミュニケーションや、作業者のモチベーションアップは生産性や品質を向上させるでしょう。ただし、情報の更新が適切になされていなかったり、視認性が低い場所に設置されていたりすると、ディスプレイで表示する効果がなくなってしまうため注意が必要です。
工場を見える化させた事例
工場を見える化させた事例
ここからは、実際に工場を見える化したことで課題が解決した事例を紹介します。実際の事例を踏まえて工場の見える化とは何か、どのようなメリットがあるか、理解を深めていきましょう。
富士電機
変圧器や遮断器を製造する工場では、ただ機器やシステムを導入するだけでなく、そこから生産性の向上にいかに結びつけるかが課題でした。そこで、工場全体の生産情報から経営情報まで、工場に関するあらゆる情報をダッシュボードの導入によって一元的に見られるようにしました。この事例では見える化により、現場で発生した問題に対して迅速な対応が可能となり、問題の発見と改善を繰り返すことで生産性を5%向上させることに成功しました。
また、半導体を生産する工場では、生産に多くのエネルギーが必要であるため、どのように省エネを実現するかが課題でした。そこで、電力や温度などのデータを収集し分析することで、エネルギー使用量を見える化し、無駄を発見しました。この事例では、AIの活用によりエネルギー使用を最適化したことで、5年間で34%の省エネに成功しました。
トヨタ自動車
トヨタ自動車はかんばん方式と呼ばれる独自の生産方式による見える化によって、製造における無駄を削減しています。かんばん方式はいつ、どこで、何が、どれだけ使われたかが書かれたかんばんを部品箱1つ1つに取り付ける方式です。このかんばんを見ると、その時点の工程が明確になり、各工程間の連携がスムーズに行えます。
かんばん方式により過剰在庫の無駄がなくなり、必要なものを必要なときに必要なだけ作る効率的な生産を実現しています。また、現在はかんばんが電子化されており、DXの取り組みにより、さらに効率的な生産体制が実現できています。
工場を見える化しよう
工場を見える化しよう
ここまで工場の見える化の方法や実際に導入して成功した事例をご紹介しました。効率に優れた生産や品質の向上には工場の見える化が効果的であることが分かります。
しかし、自社に導入するには何から始めたらよいのか分からない、導入する前に実際に目で見て確認したいという人は多いでしょう。そのような方は、展示会に足を運び、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
RX Japan 合同会社では、日本最大級の製造業の展示会「ものづくり ワールド」を東京で行うほか、大阪・名古屋・福岡でも開催しております。
展示会場では、製造業の最先端事例や設計開発の最前線の話題が学べる併催セミナーも開催しています。
来場だけでなく展示会への出展も受け付けております。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
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<監修者>
福本 勲
合同会社アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」を立ち上げ・編集長などを務め、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
また、複数の企業や一般社団法人のアドバイザー、フェロー、NewsPicksプロピッカーなどを務めている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX: EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』、『製造業DX Next Stage: 各国/地域の動向やAIエージェントがもたらす新たな変革』(近代科学社Digital)がある。主なWebコラム連載に、ビジネス+IT/SeizoTrendの『第4次産業革命のビジネス実務論』がある。
その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
(本プロフィールは2025年11月現在のものです)
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