センシングとは?種類や活用事例を分かりやすく解説

センシングとは、センサを用いて対象の情報を計測・数値化し、デジタルデータとして取り扱えるようにした技術のことです。

この記事では、DX推進や生産性向上に役立つセンシングの基本から、センサと扱える情報の種類、導入するメリット、業界別の活用事例までを分かりやすく解説します。


この記事で分かること

センシングとは?
 ・なぜ今、センシングが注目されるのか?
 ・「センシング」と「センサ」の違い

センシング技術の種類と特徴

センシング導入で得られるメリット
 ・製品品質を安定化:管理レベルの向上と不良品削減を実現
 ・設備保全を最適化:点検省力化と予知保全によるダウンタイム削減
 ・生産効率を最大化:自動化とプロセス最適化で貢献

【業界別】センシング技術の多様な活用事例
 ・【製造業】スマートファクトリーを実現するデータ活用
 ・【農業】データで育むスマート農業の現場
 ・【医療】遠隔医療から見守りまでヘルスケア分野でのデータ活用
 ・【自動車】自動運転の「目」となる技術

センシング導入の課題・デメリット
 ・導入コストが高い
 ・データの管理・解析が難しい
 ・プライバシー・セキュリティの懸念

センシング活用で失敗しないためのポイント
 ・センシングの目的を明確にする
 ・現場に合ったセンサを選定する
 ・良質なデータを安定して収集する
 ・データを「使える仕組み」を構築する
 ・スモールスタートで段階的に展開する

センシング技術の最新トレンド
 ・AI・高速通信が牽引するセンシングの進化:高精度化、自律化、多角的な情報解析
 ・次世代を切り拓く最先端技術:量子センシング、非接触・生体センシング、MEMS

まとめ


RX Japan 合同会社では、日本最大級の製造業の展示会「ものづくり ワールド」を東京で行うほか、大阪・名古屋・福岡でも開催しております。

展示会場では、製造業の最先端事例や設計開発の最前線の話題が学べる併催セミナーも開催しています。

来場だけでなく展示会への出展も受け付けております。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

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 センシングとは?

センシングとは?

センシングとは、センサ(Sensor)と呼ばれる検知器を用いて、さまざまな情報を計測し、数値化・データ化する技術やそのプロセス全体を指します。私たちの身の回りにある光、音、温度、圧力といった物理的な量や化学的な量を、機械が処理できる電気信号に変換する役割を担っています。

センシング技術は、大きく以下の2種類に分類されます。

分類

定義

主な活用例

スマートセンシング

センサ自体がデータ処理や判断機能を持つ技術

工場の自動化など

リモートセンシング

対象に触れることなく遠隔から情報を取得する技術

人工衛星による地表観測、測量、3Dスキャナなど

分類

定義

主な活用例

スマートセンシング

センサ自体がデータ処理や判断機能を持つ技術

工場の自動化など

リモートセンシング

対象に触れることなく遠隔から情報を取得する技術

人工衛星による地表観測、測量、3Dスキャナなど

センシングによりさまざまな情報をデジタルデータとして扱えることで、分析への活用や遠隔監視などの実現に役立っています。

なぜ今、センシング技術が注目されるのか?

近年、センシング技術が改めて注目を集めている背景には、IoTやAI技術の進化、そして社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きが大きく関係しています。

モノがインターネットにつながるIoTの普及により、あらゆる場所から膨大なデータを収集することが可能になりました。センシングは、このIoTの「目」や「耳」として、現実世界の状況をデータ化する入口の役割を果たします。

収集されたデータはAIや専門家などによって解析され、これまで気づけなかった新たな知見や、業務効率化につながる具体的な改善策を見出すために活用できます。製造業をはじめとする多くの企業が、生産性向上や新たな事業創出を目指すなかで、その基盤となるセンシング技術の重要性が高まっているのです。

「センシング」と「センサ」の違い

「センシング」と「センサ」は混同されやすい言葉ですが、その意味合いは異なります。センサが情報を検知・測定するための「装置」そのものを指すのに対し、センシングはセンサを用いて情報を計測し、活用するまでの一連の「技術体系」や「プロセス」を指します。

簡単に言えばセンサは「道具」です。一方、センシングはその道具を使って情報を取得し、意味のあるデータに変換する「行為」や「仕組み」と理解すると分かりやすいでしょう。高品質なセンシングを実現するためには、目的に合った適切なセンサを選定することが不可欠です。

 センシング技術の種類と特徴

センシング技術の種類と特徴

センシング技術は、検知する対象によって多種多様なセンサを使い分けます。ここでは、産業界で広く利用されている代表的なセンサの種類とその特徴、主な用途を紹介します。

センサの種類

特徴

主な用途

画像センサ

物体の形や色、位置などを画像として捉える

工場の製品検査、自動運転車における障害物検知

圧力センサ

気体や液体の圧力を検知する

血圧計、工場の配管内の圧力監視

光センサ

光の有無や強さを検知する

スマートフォンの画面の明るさ自動調整、自動ドアの開閉

音センサ

音波を電気信号に変換する

音声認識、騒音レベルの測定、設備の異常音検知

振動センサ

物体の揺れや振動を検知する

地震計、工場内の機械の故障予兆を検知する予知保全、建物の健全性監視

風量センサ

空気の流れの速さや量を測定する

空調設備の制御、クリーンルームの環境管理、気象観測

水位センサ

液体(水など)の高さを検知する

河川の氾濫監視、貯水タンクの水量管理

レーザーセンサ

レーザー光を対象物に照射し、その反射光から距離や形状を精密に測定する

測量、3Dスキャナ、自動運転車のLiDAR

温湿度センサ

温度や湿度を測定する

空調管理、加熱結露防止

ジャイロセンサ

傾き、回転速度を測定する

ロボット・車両・ドローンなどの状態検知と自律姿勢制御

センサの種類

特徴

主な用途

画像センサ

物体の形や色、位置などを画像として捉える

工場の製品検査、自動運転車における障害物検知

圧力センサ

気体や液体の圧力を検知する

血圧計、工場の配管内の圧力監視

光センサ

光の有無や強さを検知する

スマートフォンの画面の明るさ自動調整、自動ドアの開閉

音センサ

音波を電気信号に変換する

音声認識、騒音レベルの測定、設備の異常音検知

振動センサ

物体の揺れや振動を検知する

地震計、工場内の機械の故障予兆を検知する予知保全、建物の健全性監視

風量センサ

空気の流れの速さや量を測定する

空調設備の制御、クリーンルームの環境管理、気象観測

水位センサ

液体(水など)の高さを検知する

河川の氾濫監視、貯水タンクの水量管理

レーザーセンサ

レーザー光を対象物に照射し、その反射光から距離や形状を精密に測定する

測量、3Dスキャナ、自動運転車のLiDAR

温湿度センサ

温度や湿度を測定する

空調管理、加熱結露防止

ジャイロセンサ

傾き、回転速度を測定する

ロボット・車両・ドローンなどの状態検知と自律姿勢制御

 センシング導入で得られるメリット

センシング導入で得られるメリット

センシング技術とデータを活用する仕組みを導入することで、企業は品質管理、設備保全、生産効率の各側面で大きなメリットを享受できます。データに基づいた客観的な判断が可能になり、事業全体の最適化につながります。

製品品質を安定化:管理レベルの向上と不良品削減を実現

製造ラインにセンシング技術を導入することで、製品の状態や加工精度をリアルタイムで監視できます。これにより、熟練作業員の感覚に頼っていた品質管理をデータに基づいて標準化し、管理レベルを向上させることが可能です。異常を早期に検知して即座に対応できるため、不良品の発生を未然に防ぎ、製品品質の安定化と歩留まりの向上に大きく貢献します。

設備保全を最適化:点検省力化と予知保全によるダウンタイム削減

工場の機械や設備に振動センサや温度センサを取り付けることで、稼働状況を常時監視できます。従来、人の手で行っていた定期点検を自動化し、省力化を実現します。さらに、収集したデータをAIで解析することで、故障の兆候を事前に察知する「予知保全」が可能となり、突然の設備停止(ダウンタイム)による生産機会の損失を最小限に抑えることができます。

生産効率を最大化:自動化とプロセス最適化で貢献

センシングによって得られるデータは、生産プロセス全体の効率化に貢献します。例えば、各工程の稼働状況のデータを収集、集約し可視化することで、ボトルネックとなっている箇所を特定し、改善策を講じることが可能です。また、センサからの情報に基づいてロボットや機械を自動制御することで、作業の高速化と省人化を実現し、生産効率を最大化します。

 【業界別】センシング技術の多様な活用事例

【業界別】センシング技術の多様な活用事例

センシング技術は、特定の産業にとどまらず、さまざまな分野でその応用範囲を広げています。ここでは、以下の4つの業界における具体的な活用事例を見ていきましょう。

・製造業
・農業
・医療
・自動車

【製造業】スマートファクトリーを実現するデータ活用

製造業は、センシング技術の活用が進んでいる分野の一つです。工場のスマートファクトリー化において、センシングは不可欠な技術となっています。画像センサによる製品の外観検査の自動化や、振動・温度センサを用いた設備の予知保全など、品質・コスト・納期の最適化と安全性の向上に貢献しています。

【農業】データで育むスマート農業の現場

農業分野では、人手不足や高齢化といった課題を解決するため、スマート農業への取り組みが加速しています。土壌にセンサを設置して水分量や肥料濃度などを測定し、水や肥料を最適なタイミングで自動供給するシステム、土壌成分と照度を計測・記録した作物育成の最適化、ドローンに搭載したセンサで農作物の生育状況を広範囲に把握する技術などが実用化されています。これにより、収穫量の増加と品質向上、農作業の省力化を実現しています。

【医療】遠隔医療から見守りまでヘルスケア分野でのデータ活用

医療・ヘルスケア分野でもセンシング技術の活用が進んでいます。ウェアラブルデバイスに搭載されたセンサは、心拍数や血中酸素濃度といったバイタルデータを24時間記録できるため、個人の健康管理や遠隔医療に役立てられています。また、高齢者施設ではベッドに設置したセンサで睡眠状態や離床を検知し、転倒防止や健康状態の異常を早期に発見する見守りシステムが導入されています。

【自動車】自動運転の「目」となる技術

自動車業界、特に自動運転技術の開発において、センシングは核心的な役割を担っています。カメラ(画像センサ)、ミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)といった複数のセンサが、車両の「目」として機能します。これらのセンサが周辺の車両や歩行者、障害物、道路標識などを360度検知し、その情報をAIが統合・分析することで、安全な自動運転の実現が図られています。

 センシング導入の課題・デメリット

センシング導入の課題・デメリット

多くのメリットをもたらすセンシング技術ですが、導入にあたってはいくつかの課題やデメリットも存在します。事前にこれらを理解し、対策を検討することが重要です。

導入コストが高い

センシングシステムを導入するには、センサ本体に加え、データを収集・送信するための通信機器、データを蓄積・分析するためのサーバーやソフトウェアなど、多岐にわたる初期投資が必要です。特に、高精度なセンサや大規模なシステムを導入する場合、コストが大きな障壁となる可能性があります。

データの管理・解析が難しい

センシングによって収集されるデータは膨大であり、日々増えていきます。これを適切に管理・保管するためのインフラが必要です。

また、収集したデータは、単に蓄積するだけでは意味がありません。データから価値ある知見を引き出すためには、データサイエンスの専門知識や高度な分析ツールが必要となります。AI技術の進化によりハードルは下がっているものの、人材の確保や育成が課題となるケースも少なくありません。

プライバシー・セキュリティの懸念

カメラやマイク、位置情報センサなどを利用する場合、個人のプライバシー侵害につながるリスクがあります。また、ネットワークに接続されたセンシングシステムは、サイバー攻撃の標的となる可能性も否定できません。データの暗号化やアクセス管理、セキュリティソリューションの導入といった厳重なセキュリティ対策を講じ、関連法規を遵守することが不可欠です。

 センシング活用で失敗しないためのポイント

センシング活用で失敗しないためのポイント

センシング技術の導入を成功させるためには、計画段階から運用まで、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、活用で失敗しないための5つのポイントを解説します。

センシングの目的を明確にする

最も重要なのは、「何のためにセンシングを行うのか」という目的を明確にすることです。例えば、「不良品を削減したい」「設備のダウンタイムをなくしたい」といった具体的な課題を設定し、その解決のために「どの情報を」「どの程度の精度で」「どのような頻度で」取得する必要があるのかを定義することが、プロジェクトの第一歩となります。

現場に合ったセンサを選定する

目的が明確になったら、それを達成するために最適なセンサを選定します。測定対象や求められる精度はもちろん、設置場所の温度や湿度、振動といった環境条件に耐えられるかどうかも重要な選定基準です。コストとのバランスを考慮しながら、現場の要件に最も合ったセンサを選ぶ必要があります。

良質なデータを安定して収集する

センシングの成果は、収集されるデータの質に大きく左右されます。センサの設置方法やメンテナンスが不適切だと、ノイズやデータの欠損により、信頼性の低いデータしか得られません。正確で安定したデータを継続的に収集できる仕組みを構築することが、その後のデータ分析の精度を高める上で不可欠です。

データを「使える仕組み」を構築する

データを収集するだけで終わらせず、現場の意思決定やアクションに結びつける「仕組み」を構築することが成功の鍵です。収集したデータをリアルタイムで可視化するダッシュボードの作成、異常値を検知した際にアラートを出すシステムの導入など、データが現場で「使える」状態にすることが重要です。

スモールスタートで段階的に展開する

センシングの導入では、予期せぬ事態が発生する場合もあります。手探りで成果を確かめながら進めるケースでは、大型の初期投資はリスクも大きくなります。小規模な実証実験から導入をはじめ、徐々に規模を拡大するスモールスタートの計画が有効な対策となります。

 センシング技術の最新トレンド

センシング技術の最新トレンド

センシング技術は、関連技術の進化とともに、今もなお発展を続けています。ここでは、注目すべき最新のトレンドを2つ紹介します。

AI・高速通信が牽引するセンシングの進化:高精度化、自律化、多角的な情報解析

AI技術の進化は、センシングデータの解析能力を飛躍的に向上させています。従来は見過ごされていた微細な変化から異常の兆候の捕捉、複数のセンサから得られる情報を組み合わせたより複雑な状況判断が可能になりました。また、5Gのような高速・大容量・低遅延の通信技術は、高精細な映像データなどのリアルタイムな伝送・解析することを可能にし、遠隔操作や自律制御の精度を高めています。

次世代を切り拓く最先端技術:量子センシング、非接触・生体センシング・MEMS

未来を見据えた技術開発も進んでいます。例えば、「量子センシング」は、量子の性質を利用して従来のセンサでは計測できなかった極めて微弱な磁場や重力を高感度で捉える技術であり、医療やインフラ診断などへの応用が期待されています。

また、対象に触れることなく心拍や呼吸といった生体情報を取得する「非接触・生体センシング」も、ヘルスケアや見守り分野での活用が期待される注目の技術です。半導体技術により基板にセンサ、アクチュエータ、電子回路などを集積したMEMS(微小電子機械システム)は、スマートフォンの落下検知、自動車のエアバッグ制御など活用が広がっています。

 まとめ

まとめ

センシングは、IoTやAIと結びつくことで、製造業から医療、農業に至るまで、あらゆる産業のDXを加速させる基盤技術です。製品の品質向上、生産プロセスの最適化、新たなサービスの創出など、その可能性は無限に広がっています。一方で、導入にはコストやデータ解析の課題も伴うため、目的を明確にし、計画的に進めることが重要です。

センシング技術の最新動向を把握するためには、専門の展示会に足を運び、実際の製品やソリューションに触れることが非常に有効です。自社の事業に生かせるヒントを得るためにも、ぜひ次回の展示会に参加し、最先端のセンシング技術を体感してみてはいかがでしょうか?

RX Japan 合同会社では、日本最大級の製造業の展示会「ものづくり ワールド」を東京で行うほか、大阪・名古屋・福岡でも開催しております。

展示会場では、製造業の最先端事例や設計開発の最前線の話題が学べる併催セミナーも開催しています。

来場だけでなく展示会への出展も受け付けております。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

●出展・来場に関する情報はこちら


<監修者>

コウヤマ ヒロシ

SIerに就職し、システムエンジニアとして勤務。製造業や倉庫業、輸配送業の顧客向けに生産管理、販売管理、ERP、FA、EDI、WMS、配車管理などのシステム開発・導入を担当。要件定義、設計、プログラミング、テスト、運用保守、プロジェクトマネジメントまでを経験。
退社後はフリーランスのエンジニア、ライター、IT講師として活動。SIer時代の知見をもとに、CRM、SFAなどを提供する企業やエンジニアの転職サイト向けに、DX・技術・職種解説や事例記事の作成多数。


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